航空3S五月祭までの生活(五月祭引継ぎの意を込めて)

この記事は東京大学航空宇宙工学科/専攻 Advent Calendar 2020に16日目の記事として参加しています。

adventar.org

 

初めまして。B4のふじもんです。
今年COVID-19の関係で世界の形は変わってしまいました。様々に起きた変化の1つに五月祭や駒場祭といった文化祭のオンライン化が挙げられます。

 

オンライン文化祭どうでしたか?僕は講演会をいくつか見たり、合唱などの催しを楽しんだりしました。オンライン化により、移動の制約無く楽しむことができるようになったのは1つの恩恵です。一方オンライン化により参入の難易度は増したというのも1つの事実です。実際航空宇宙工学科は、今年度の五月祭への参加を断念することとなってしまいました。

 

来年度の文化祭運営がどのようになるかは不明です。元の形に戻せるかも不透明です。ただ年々と積み上げられてきた流れを完全に断ち切るには惜しく、我々にできることは航空文化祭の歴史を未来へと繋いでいくことだと考えています。

 

この記事は、2019年度航空五月祭の代表であったぼくが未来の航空学科民(2021年度進学以降)をターゲットに、航空五月祭の運営を回顧するものとなっています。学科での生活についてもほんわかと記すので進学選択の参考にしてもらえると嬉しいです。1つ下の人たちや同期、先輩方にもそんな感じだったな~とか、そんな感じなんだな~とか思いながら読んでいただけると幸いです。

代表決定~1月

進学選択が落ち着き、新しい学期が始まってすぐに学科内で役職を決める機会がありました。五月祭の代表はその中の1つで、何となく楽しそうだったから引き受けることにしました。

 

1月の試験が終わるまでは特別やることも無く、五月祭の代表としては特に何もしていなかったです。細々とした仕事はあるものの、この期間は航空民として普通の生活を送っていました。

 

2年生のAセメスターは航空宇宙工学科としてはほどほどに大切な期間です。これからの基礎となるようなことを学ぶのはもちろん、この期間の成績が3Sの終わりのコース振り分けに使われるからです。航空宇宙工学科にはシステムコースと推進コースの2コースがあり、一般にシステムコースの方が希望者過多になると言われています。絶対にシステムに行きたい人や決めていないけど後で悩めるようにしたいという人は、良い成績を取れるようにある程度の努力をする必要があるのです。

 

まあ成績云々言いましたが、より本質的なのはこれからの基礎となるようなことを学ぶという部分にあると考えています。この学期に学ぶことは本学科で学ぶ全てに通ずるもので、身についていない場合後で必ず戻らざるを得ない内容であります(自戒)。今の2年生や未来の航空民はこの時期の勉強を頑張ってくださいね。

2月~3月

自分語りは終わりにして五月祭の話に戻ろうと思います。試験が終わり春休みに入りました。この期間から五月祭に向けて順次動き始めていきます。

航空の五月祭企画には、

  • 研究展示部
  • 企業展示部
  • 体験企画部
  • 模擬店部

の4つの部門があります。より詳細には全体の会計を司る会計部と、パンフレットの製作やSNSの運用を担当する広報部もあるのですが、ここでは上に挙げた4つの部門に絞って説明を行わせていただきます。

 

以下各部の概要と春休みの活動を簡単に説明していきますが、同様のことは2019年度五月祭企画のfacebookにおいても行われているので興味ある人はぜひ参照してみてください。

www.facebook.com

研究展示部

研究展示部は文字通り東大航空宇宙工学科で行われている研究に関する展示を行う部門です。本郷や柏の研究室はもちろん、相模原の研究室も研究紹介に来てくださいます。ポスター紹介や、実験器具の紹介、模擬実験等、航空宇宙に関する最先端の研究に触れられる機会になっています。

 

部員としては、研究室の先生方や研究室所属の先輩方にコンタクトを取り、来年度出展のお願いをすることとなります。基本的にメールをするだけで仕事は完結します。当日の運営は研究室の方々がやって下さるので、研究展示部門としての仕事は五月祭当日までに完結することとなります。

企業展示部

航空宇宙工学科と言えば避けて通れないのが産業界との繋がり。(変な意味ではないですよ。)航空宇宙工学は総合工学ですからね。本学科で学ぶことは社会のお困りごとを多様に解決しちゃうわけなのです。企業展示部はそれら産業界の紹介を行う部門です。2019年度五月祭では以下の9社もの企業や研究所にご協力をいただきました。

  1. 三菱重工業株式会社
  2. 株式会社IHI
  3. 全日本空輸株式会社(ANA
  4. 日本航空株式会社(JAL
  5. エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン株式会社
  6. ボーイング ジャパン株式会社
  7. JAXA 相模原宇宙科学研究所
  8. JAXA 調布航空宇宙センター
  9. JAXA 筑波宇宙センター

 

企業展示部門の春休み中の仕事はこれら企業や研究所とコンタクトを取ることです。メールでやり取りが完結する企業もあれば、実際にお会いして色々なお話を聞かせていただける企業もあります。ぼくも代表であることをいいことに全日本空輸株式会社(ANA)さんに伺わせていただきました。話を伺うだけに止まらず、工場見学までさせてもらえるとのこと(要出典)!まして僕は企業展示の者でもないのに...。職権乱用の限りではありますが、とても貴重な体験をさせていただけました。

体験企画部

体験企画部は紙飛行機作り等の体験活動を通して航空宇宙工学に触れてもらうことを目的とした部門です。具体的には以下の4つの班があります。

  1. 紙飛行機班
  2. ラジコン班
  3. ペットボトル班
  4. 新企画班

具体的な準備を始めていくのは4月になってからですが、簡単な方針決め等は春休み中に行います。以下各班の企画概要について簡単に説明していきます。

紙飛行機班

紙飛行機班は文字通り紙飛行機の工作を主催する班です。学科で実際の航空機を設計しちゃうような人たちが作る紙飛行機なので、そりゃ驚くほど飛びます。下の写真を見ると分かりますが、もはや紙飛行機ではありません。重心位置や垂直尾翼の設置等、航空機力学を反映させた紙飛行機の製作を楽しむことのできる企画となっています。

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実際の紙飛行機
ペットボトル班

ペットボトル班はペットボトルロケットの工作を主催する班です。学科でロケットエンジンを設計しちゃうような人たちが作るペットボトルロケットなので、そりゃ驚くほど飛びます(半分嘘です)。紙飛行機と違って、ペットボトルロケットを飛ばせる機会は中々ないと思うので、そういう意味ではとても貴重な企画となっています。

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実際のペットボトルロケット
ラジコン班

ラジコン班はラジコン飛行船を室内で飛ばす企画を主催する班です。2019年度はサメのラジコン飛行船を飛ばしていました(下図)。操縦者の技量が問われる企画で、壁への衝突を繰り返す人もいれば、まるで生きているサメかのように滑らかに飛ばす人もいます。飛ばすこと自体についつい目が行ってしまいがちですが、どのような仕組みで推進しているのかに注目してみるのも面白いです。

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実際のラジコン飛行船
新企画班

新企画班はその名の通り、年度毎に新しい企画にチャレンジする班です。参考までに過去数年の企画を掲載すると以下のようになります。

  • 2016年度:AXELSPACE特集
  • 2017年度:「風立ちぬ」から始める航空機入門
  • 2018年度:HondaJetに関する展示等

学科全体の代表を勤めている僕ですが、人数の関係上実はこの班にも所属していました。まずは企画案を学科のみんなから集め、何をするかを決めることから始めます。eVTOLに興味があった僕は有志団体CARTIVATORさんにインタビューをしに行くという案を出しました。そこから何やかんやあって結局僕の案を採用していただける事となるのです!(職権...?)

 

CARTIVATORは、「モビリティを通じて次世代に夢を提供する」というミッションのもと、空飛ぶクルマの開発を行っている業務外有志団体です。2020年までの達成を目標としていた屋内での有人飛行に今年8月成功し、今後は機体開発を株式会社SkyDriveが、空飛ぶクルマの社会需要性を高めるような活動を有志団体CARTIVATORが行っていくものとしています。興味がある人は以下のリンクを踏んでみてください。

cartivator.com

 

CARTIVATORは主に技術開発を担当する愛知県の事務所と、広報活動等を行う東京の事務所という2つの事務所を持っています(注:2019年度の話です)。今回は東京の事務所であるTechShop東京にお邪魔させていただきました。テストパイロットの方、非常用装置の開発を行う方等、本当に様々な方からお話を伺わせていただけました。業務外(=休みの日)に活動をしているだけあり、どの方からも熱い思いがほとばしっていました。「空を飛ぶ」という夢の力を強く感じられる一日となりました。(参照:航空宇宙工学科の「夢」(下図))

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大事な場面でついつい思い出してしまう言葉

模擬店部

自分語りはここまでに。最後は模擬店部についてです。イメージは無いかもしれませんが、航空宇宙工学科は毎年五月祭に模擬店を出しています。2019年度は以下のような出品をしました。

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2019年度の商品一覧

模擬店部門のメンバーが仕事を開始するのは4月に入ってからなので、春休みは基本的に仕事無しで過ごすこととなります。

4月~五月祭直前

4月から徐々に準備は本格化していきます。研究部や企業部のやり取りは大詰めに入り、体験部はプロトタイプの機体を作ったりします。個人的にはペットボトル班の班長が「ペットボトルの数が足りない」と言って直前の1週間、炭酸水を飲みまくっていたのが印象的でした(ペットボトルロケットは中に高圧の水を入れるため通常のペットボトルでなく、炭酸飲料用のペットボトルを用意する必要があるのです)。

あと五月祭前日に様々な企業や研究所のもとに展示品を取りに行くことになるのですが、その際に初めて軽トラに乗れたのが嬉しかったです。軽トラはバックミラーを使えないので基本的にサイドミラーのみで後ろを確認することになるのが面白かったです。普段乗らないような車に乗るのすごく楽しいですよね。

 

3Sの学科生活は課題が多くただただ大変でした。工学部は割とどの学科もそうなのですが、航空宇宙工学科も例にもれず3Sは忙しいです。ぼくは航空系に絞って授業を取ったのでいささか楽な方でしたが、全ての授業を取るとまあまあ大変になります。

あと3SはARLISSというプロジェクトも同時並行で走っていて、それに参加している人達はおよそ人ではありませんでした。ぼくは参加しなかったので詳しくは知りませんが、それに見合う価値を秘めた体験なんだろうと勝手に思っています。興味のある人は下のリンク先を確認してみてください。

unisec.jp

当日

五月祭当日、代表としては特にやることは何もなかったです。各部門の学科民がワイワイやっているのを楽しく眺めていました。企業展示や研究展示では専門的な解説がなされ、体験企画では子供たちが騒ぎあっていました。模擬店では商品の宣伝が繰り返され、場内は喧噪に包まれていました。

途中体験企画のラジコン飛行船が、目を離した隙に1台外に放流されてしまうという事件が起きてしまいました。あのラジコン飛行船がどこに行ってしまったのかは誰も知る由はありません。

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享年1ヵ月

文化祭楽しいですよね。あの非日常感がたまらないです。2020年度は結局あのような非日常感を一度も味わうことなく終わりになってしまいそうです。オンラインって空気感を共有できないのが難しい所ですよね。

五月祭後

 五月祭後は、まず翌日に企業や研究所に展示品を返しに行くことになります。翌日ですが、授業は休みではなく、何人かの戦士達は授業を切って返還の儀に出向くことを余儀なくされます。月曜午前には「ジェットエンジン」という色んな意味で1番切りたくない授業があるので中々人は集まりませんでしたが、みんな優しいので何とかなりました。授業は切らなければなりませんが、代わりに学科の人とドライブできるということでオールOKです。この時一緒に行った人とは割かし深い話を出来た気がします。とても楽しかったです。

 

あとは早い内に各所で引継ぎ書を書いてもらいました。時間が経つと忘れちゃうからね。終わって1週間の内とか、かなり早めに締め切りを設定してざっくりとでもいいから書いてもらったような記憶があります。こんな感じでぼくの五月祭は終了しました。

 

終わりに

 五月祭引き継ぎという名の自分語りになってしまった感はありますが、何となくでも学科生活の雰囲気を感じ取ってもらえれば幸いです。五月祭については語り切れなかったことがまだまだあるので、興味ある人は下のTwitterアカウントにDMでも何でも送ってもらえればと思います。

twitter.com

 

かなり長めの文章となってしまいましたがここまで読んでいただき本当にありがとうございました。失礼致します。